離床の意味!起立や立位は何故勧められるか。(理学・作業療法士、看護師向け)
こんばんは!
健康を愛する理学療法士です!
今回は、
【離床の意義、効果(臥位との違い)】
をお話しします!
よく臨床現場で言われる離床。
ベッドからギャッチアップした頭を挙上姿勢から車椅子の座位、両足での立位など、離床も様々です。
脳卒中の人をリハビリする時、
「早期の離床、起立訓練が大切!」ってのは言われていますね。
(*脳卒中ガイドラインでグレードA。積極的に勧める科学的根拠あり。)
では、離床すると一体何が変わるのでしょうか?
そのとき体・脳の中では何が起こっていて、何を根拠(エビデンス)として、良いと言われているのでしょうか?
*こんなことは言いません笑
また、良いところもあると言うことは、必ず「デメリット・注意点」が存在します。
それも絶対に忘れないでください。
良いことだけなんてことは世の中に基本的には無いので(o_o)
安静と臥床とは?
安静とは?
無動、不動。
あるいは低活動である状態のこと。
臥床状態とは?
重力負荷がなくなった状態のこと。
日常生活を送っている人たちにも、結構多いと思いますよ。
これらが合わさると、【廃用症候群】という病気になってしまいます。
いいですか?少し大げさになるかもですが、
運動をしないだけで、【病気】になるんです。
廃用症候群には、
・筋萎縮
・関節拘縮
・骨萎縮(骨密度の減少、骨粗鬆症)
・循環障害(血管コンプライアンス低下)
・認知機能低下(うつ、認知症)
・褥瘡(床ずれ。皮膚の壊死)
のような種類があります!
患者さんをよくするというのは、
【廃用症候群を予防する】
という内容もかなり多く含んでいると私は考えます。
離床のメリット(全体として)
離床するメリットということは、【臥床、安静にするデメリット】とも言えますね!
・エビデンス(文献や論文)
発症から24時間以内に坐位や立位訓練を開始した群が 12ヶ月後の予後が良い。入院日数を短縮した。
また、自立歩行までに要する日数を短縮した。
*A very early rehabilitation trial for stroke (A VERT)
Bernhardt J et al: Stroke, 2008 Sorbello D et al: Cerebrovasc Dis, 2009 Toby BC et al: Stroke, 2011
これは、脳梗塞に対しての文献とも捉える事が出来ます。しかし、脳の機能的再構築以外の側面以外(先程あげた廃用症候群の予防)も大きく関わっているのは事実です。
安静にすることでの悪影響から挙げていきますね!
臥床(Bed rest)の影響、デメリット
これは先ほども申し上げた「廃用症候群」になるってことです。
・骨密度低下
・心肺能力、筋力、巧緻性の低下
・精神機能低下(脳細胞の活動がなくなる)
・血管コンプライアンスの低下
・内分泌、自律神経応答不良
・体液量、循環血液量低下
ただ寝ているだけ。
それだけで、こんなにも多くの欠点があるんです!
ちなみに若い人も同じで、程度は遅いですが上記の内容が進みます。。。
・骨密度の低下
これは、重力に抗していない状態が骨に対して刺激にならないために起こります!
骨も刺激やストレスがかからないと強くならないので!
・精神機能の低下
これにより、鬱にもなりやすいと言われます。
筋肉が動いているということは、逆に言えば脳からの指令が出ているということ。
脳活動が起こらなければ、神経は「俺いらないんだね。」と感じて退化していきます。
これは、【脳の可塑性】とも言われる脳の性質です^ ^
基本的には、人間のからだは刺激(重力や感覚)が入らないと、それに対して反応しないので成長しません!
・内分泌、自律神経応答不良
内分泌系や自律神経系とは、【ホルモン】に関わる部分です!
自律神経なんかは、
・心臓を動かす
・緊張する状態などを感知して汗の量を変える
など[意識できない身体の変化]を支配しています(^^)
長期臥床によって交感神経が活動が障害されるため、血管収縮能力が低下する⬇︎
→静脈還流量の減少
→心拍出量の低下
→脳の血流量低下
となってしまいます。(基本的には脳血流量は変わらないと言われていますが、神経的変化が起こった場合は別ですね)
これらは、冗談抜きに【ゆっくりと自殺してる】ようなイメージです。
人間としての活動を全て担っている【細胞の活動】をなくしていますので。
これらは、いずれも運動することで防ぐことが可能です!
キツくなりますが、活動を起こさないと本当に本当にお話になりません。
上にも挙げましたが、
筋肉以外に骨も弱るし、頭もボケるし、飲み込みも悪くなるし、意欲も下がる。
若いうちから早め早めに運動しましょう。
www.kenkoureha.com姿勢変換は重力との関わりがとってもとっても大きいです!
起立すると重力の影響があるので、人間は同じ状態ではなくなります!
イメージとしては、「足の方に血が溜まって、脳の方には血流が回らなく」なります。
水滴のような形ですね。笑
だからこそ「むくみ」、「心臓への血流量が減るから全身への血流量も減る(スターリングの法則)」が起こるわけです。
立位や座位でのメリット
立位
横隔膜が稼働しやすい(重力によって、下方へ移動する)。それによって呼吸機能が向上する!
胸腔内への静脈還流量が減少(重力によって、下肢に多く血が流れますので。)
→呼吸数・換気量増加(しっかり体に酸素を取り込もう、末梢に回そうとする)
→動脈内CO2分圧減少!(酸素濃度が高くなる!)
座位
・両手を膝におく
・骨盤・体幹正中位、
・膝関節90度屈曲、
・足底接地
の肢位を取った端座位では、「脊柱起立筋群、内腹斜筋の筋緊張が高まる傾向にあった。」という文献がありました。
【腰椎前弯での姿勢保持では、脊柱起立筋群の活動が多い】
【内腹斜筋が腹腔内圧の上昇に関与し、姿勢を保つ】
みたいですね!
脊柱が屈曲してる座位姿勢(猫背、円背)では椎間板内圧が上昇して腰痛の原因になると言われています。
筋活動がなければ「骨や軟部組織性での支持になる」ため、負担がかかります!
若いうちから廃用予防!
宇宙から帰って来た人が立てなかったりするのは何ででしょう?
無重力でいるだけであんなに筋力が落ちるんです。
すなわち抗重力活動(筋活動)を起こすことがとても大切なのですね。
【普段、日頃から運動もせずゴロゴロして寝ている。
それだけでたった一回の人生の寿命を縮めているかもしれない、、、】
ということを理解してもらえたら嬉しいです、、、
ではまた!